強さのないやさしさなんて

いつも興味深く拝見しているかりんさんのブログで漫画の話題がのぼったので、久しぶりに読み返していました。



「Sons」三原順



三原さんの漫画では、いつも「なんでこうなっちゃうんだろうな」という逃れようのない不幸が描かれることが多いのですが、この漫画でも「どうして両親はお互いに愛し合っているのにこうなって、兄を思ってやった行為で弟が兄に疎んじられ、破滅へ突き進んでしまうのだろうか」と煩悶とするのでした。



主人公の伯父一家のとりかえしのつかないすれ違いが悲しい。





内容にはっきり触れているので、知りたくない方は続きは読まないで下さい。

強さのないやさしさなんて、というのは主人公D.Dの伯父の長男ジュニアのことです。



ジュニアは強い父親を尊敬し愛していたけれど、父の望むようになろうと思ってもそうなれない自分に絶望していた。そして自分の惨めさを隠すために父を憎み、表面的なやさしさに終始したのでした。

周りのみんなが望むようにふるまい、相手が聞きたい言葉をかえし、ついには自分がなくなってしまった。

自分の存在のむなしさを感じながらも生きることはできました。

しかし、仲間と弟を巻き込んだ事故の裁判の後、もう自分を生きながらえさせることができなかったんでしょう。



ジュニアのやさしさは本当の意味でのやさしさではなくて、弱さそのものだった と思います。

人を本気で愛することもできず、守ることも出来ない”やさしさ”なんて気休めにしかならない。



ジュニアの母親、マギーもまた弱い人だったけれど、彼女の弱さはまだ受け入れられるのは私が女だからなんだろうか。少なくとも彼女は夫を愛していた。子供も愛していたはず。

しかし、彼女の行動は結果的に子供達を追いつめることになってしまいました。



(裁判で争っている兄の友達の遺族にいい弁護士を雇ってやったこと…それは友達の遺族を心配する兄の気持ちを汲んでのことだけど、兄を守ろうと善意から偽証した弟にその嘘をつきつけることになり、兄は兄で、全く自分が黒なのだということを疑いなくしてしまった)



彼女はとても細やかで優しい女性なのだけれど…



そして、強く厳しいやり手の経営者である彼女の夫ウィリアムこそが真にやさしいのではないかと思ったのでした。

本人も自分が優しいなどとは思っていないでしょう。確かに一般的なやさしさではないけれど。



夫は妻を深く愛し、守ろうとしすぎたために。

妻は夫の支えになりたいと願っていたのに、その気持ちを拒み一人で戦ったために、妻の精神は壊れてしまいました。



二人は離婚して、兄弟は父親が引き取り…後妻に迎えたのは思慮分別がない、派手でぶしつけな女性。つまり最初の妻と正反対の女性と結婚したわけです。



ウィリアムとしては、自分がこういう性格でも気にしないで幸せでいられる女性を選んだつもりなんでしょうけど、兄弟にしてみれば最悪な継母ですよね。



う~ん…なんで、こういうことやるかなぁ?



やっぱりウィリアムも大分問題ある気がしてきました。

ウィリアムは自分のためにひどいことをするし、マギーは人のためによかれと思ってひどいことをする。

どちらがより悪いか、というのは非常に難しい問題ですね。



そして主人公D.Dは伯父ウィリアムの父違いの弟スティンとそのいとこジニーの息子なのです。

ウィリアムの一家はその当時困窮していて、金持ちの実父がスティンを引き取りたいと言ってきた時母親は、スティンを金持ちの養子にするために「スティンは不治の病でもうすぐ死ぬ」と村中にふれてまわり、スティン本人にもそれを信じ込ませました。(実父が今後一切この地での人間関係をもちこまない、という条件をつけてきたので)それは愛し合っていたスティンとジニーに一線を越えさせる決心をさせてしまったのです。

そしてスティンは死んだことにされて秘密裏に養子になり、残されたジニーはD.Dを妊娠していました。誰の子か、と問いつめられたジニーは、スティンを守るため夏に村にキャンプしにきていた男のうちの一人だと嘘をついたのです。

ジニーは周囲の目に耐えかねてスティンの家に走るのですが、母親は冷たく追い払い、スティンには何も知らせませんでした。D.Dを産んでしばらくしてジニーは自殺し、ことのあらましを知ったウィリアムはD.Dに罪悪感を覚え、なにかと面倒をやくようになりました。



皮肉なことに、ウィリアムを敬愛し、父のようになりたいと願う二人の息子は全く父親と似ておらず、ウィリアムのことなど歯牙にもかけないD.Dがウィリアムにとてもよく似ているのでした。





あまりに複雑な話故、読み返したり推敲を重ねて書いていたら自分は一体何が書きたかったのかわからなくなってしまいました私、何日この記事書いてるんだろう?

(2月20日頃から今日まで…

漫画の感想なんて書かない方がいいのかしら。時間ばかりかかって、言いたいことが半分も言えてないような気がする。持ってる漫画は全部濃いやつばっかりで、さらっと読み流せるのがないし)



ただ私が言いたいのは「どんなに根性が曲がっていても強い方がいい」ということです。



私は弱い人間ですが、強くありたいと思うし、強い人間が好きです。

(もちろん意地悪な強い人はダメよ。まぁ、本当に強い人はつまらない意地悪はしないものですが)

例え自分が弱くても意地悪は極力見逃さないつもりです。

そこで戦わないで、どこで戦うというのだ。

関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント